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第115話 ケンの寝起き
「んー……ん?アサ?!」
「ケン、オキ、タ?」
「うん!お!頭痛くない!」
ぐーっと背伸びしたら背中がミシミシ言った。あれ、僕何時間寝てたんだろ。
それに、最後に目を覚ました時はショーンが横に座っていたのに今はアサ?
皆で交代して僕の看病してくれてるとか?
「ダイジョブ?」
「アサぁぁぁぁ!心配した?僕のこと心配してくれた?」
「シンパ、イ……エーット、ウン」
コクコクって頭を上下に振るアサは今日も可愛いぞー!
「ケン、ミズ、ホシ、イ?」
「わっ!ありがとう!んー!水が美味しいー!」
うんうん、頭が痛いのは治ったみたいだね。左右に頭を振っても痛くない。
でもでも、体はまだ重いなぁ。なんだよもー、いつもは風邪ひかないのに引いたら、ドッカーンと来るなんて!
「お、ケン、起きてんのか?」
「ニールだぁ!おはよ!」
「夜だけどな」
コンコンって扉の音がしてニールがゆっくり入ってきた。その途端に僕の寝そべるベッドの横に腰掛けてたアサの手がぎゅってなったの。僕は見逃さなかったんだから!
「ねえ、アサ、ニールに泣かされたの?」
「ン?」
「は?!お前何言ってんだよ!」
「ニールは黙ってて!その焦り方怪しい!」
びしってニールを指さしたら、おずおずと壁の方に引きさがっていった。ほーら怪しい。僕が熱でアサを守れなかった間に、ニールが馬鹿なことをしたに違いない!絶対そうだ!
「アサ、教えて。なんで目、赤いの?」
「ボク?ン?ワカラナイ」
「目、ここ。赤い」
アサの下瞼を撫でると、はっ!と息を飲んだのが分かった。僕に泣いてたのがバレたってきっと気づいたんだ。
「なんで?」
「ナン……デ……」
知っている言葉だけなるべく使って教えてもらおうって頑張ってみる。視界の端っこで、居づらそうに足元を見ているニールがいるけど、そんなのはお構いなしだ!悪いことしたなら反省してもらわなきゃ!
って張り切ってたら、ゴホゴホと咳が出てきちゃって、可愛いアサがちょこんってベッドに乗ってきて僕の背中を撫でてくれたんだ。
えへへ、いいだろニール!
「ありがと、アサ。で、ニールは何をしたの?」
「ント……」
言いづらそうだなぁ。本人がいると言いたくても言えないかなぁ。
「ニール、退室!」
「はぁ?!お前何ふざけたことを!」
「病人の僕に喧嘩売るつもり?船長に言いつけるよ」
船長は、特にアサが関わるとニールに厳しいんだよね。
「う……分かったよ。アサ、俺は部屋にいるからな」
「ン……ニール……?」
「大丈夫だよー!!ねえ、アサ!僕とお喋りしよ!」
ベッドの上はちょっと狭いけど二人で並んで座ることにした。
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