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第116話 ケンの怒鳴りこみ

 えーっとえっと、結果から話すと、アサが何で泣いてたかを知った僕が、怒ってニールの部屋に乗り込んで怒鳴ったわけなんだけど。  夜の当直が終わって僕の部屋に来たショーンが、病人の僕がいないことに驚いてニールの部屋に飛び込み、大声を出してエネルギー不足になった僕を回収してくれたわけなんだ。 「ケン、風邪をひいてるときぐらい大人しくできませんか」 「僕は十分に休んだもん!しかも!熱は下がってたんだよ。今気分悪いのは全部ニールのせいだ!」 「それは、どういう意味ですか」 「それがね」  ショーンにも手短にニールがサイと抱き着いていた話をした。そのせいでアサが泣いていたってこともね。  長く大きなため息が聞こえてきて、首を振ったショーンが僕の胸まで毛布を掛けた。 「あの方は……」 「馬鹿だよね」 「それは使ってはいけない言葉です」 「じゃあなんて言えばいいの」  ほら、「馬鹿」しかないじゃないかぁ! 「あの二人は、その後大丈夫なのですか?私が部屋に行ったとき、アサは大人しくニールの横に座っていましたけど」 「僕が怒ってきたからね!もう大丈夫なはずだよ!アサにはね、ニールなんて捨てて僕のとこおいでって言ったんだけど、「ダメ」って言われた!」 「え?!」  僕のほうがアサとお似合いなのになー。ニールよりしっかりしてるし! 「そしたらニールが何度も謝ったの。で、恋人がいる分際で他の人に抱き着くなんてありえない!って説教してたわけなんだけど」 「はい……で、ヒートアップしすぎて熱が出たというわけですね」 「うん。多分。船長にも怒られたって言ってたし、これで反省してくれるといいよね」  僕はいい仕事をしたのかもしれない!これでニールが浮気することはないだろうしね。万が一アサがニールを捨てることになったら僕がいるし!   「咳、大丈夫ですか?熱が高かった時にはそれほどせき込んでなかったと思いますが」 「ばい菌を体から出してるんだよきっと!別にどこが痛いとかないから平気平気!」  ショーンが部屋に戻ってきたってことは、もうそろそろ寝る時間だよね。結局一度も時計確認できてないんだけど、多分それくらいなはず。 「今日はもう部屋に戻っちゃうの、ショーン?」 「え?!」  もう!さっきから「え!」ばっかりじゃないかー。僕の言葉通じてないわけ? 「だーかーらー、部屋に戻っちゃうの?って言ってんの。だって僕の熱も落ち着いてきたし、ここにいる意味ないでしょ?」 「そうですが、熱が上がってしまったらどうしますか?」 「どうもこうも、寝るしかない気がするけど……」 「……心配なので、私もここで寝ます」  くっつけば二人で寝れないこともないけど、本当に?!  

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