1 / 11

 大きな白い毛並みの人狼が、精悍な顔立ちに不釣り合いな顔をして訴える。 「瑚和(こより)、僕と、付き合って」  瑚和は渋い顔をした。 「いや俺βだし……無理でしょ、男同士だし……」  相手はぽかんとしている。αにはピンとこない理由らしい。  それもそうか。 「あと弱虫嫌いだし……」  この言葉はかなり響いたようだ。  彼の悲しそうな眼前に桜の花びらが舞い落ちる。  

ともだちにシェアしよう!