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キミがスキ!~恋~

 ◆  外を照らすお日さまが赤くなって、お月様とタッチ交代!  そんな今は、お外が真っ暗で、前はよく見えていた目だけど、今のボクはお外があまりよく見えなくなっちゃった。でもそれはビョウキとかじゃない。  人間なら当たり前みたい。  人間って、ちょっぴり不便だね。  ……なんて思いながら、ボクは、あの人がいる場所まで急ぐ。  この町では多分、一番じゃないかな、大きな川がある場所。そこに、あの人がいるんだ。  ボクは、まだ慣れていない二本の足で急いで、大きな川があるソコに向かう。  すると、いくらもしないうちに、お月様に負けない強い明かりが見えた。  その光はお月様よりもずっと眩しいけど、小さいんだ。それにそれに、ブンブンって音もたくさんする。  大きくて長細いカタマリがたくさんある。  近づけば近づくほど、耳が痛い。  でもガマンだ。あの人はソコにいるんモン! 「あ、いたっ!!」  そうこうしているうちに、一番大きな背中を見つけた。 「好きです! ボクを貴方の傍に置いて下サイ!!」 「ああ?」  ボクは大きな背中のすぐ後ろに立って、ペコンとお辞儀をする。  そうしたら、あの人は腰を上げ、振り向いて……不機嫌そうにボクを見下ろす。 「お前、本気か? この人がどういう人だかわかってんのか? 俺らは族だけどよ、この人はもっと偉い人だぜ?」  仲間の人もいくらか寄ってきた。  興味があるのか、ボクを見下ろしてケタケタ笑っている。  偉い人?  族?  ってなんだろう。  よくわからないけど、でも知ってる。知ってるモン!!

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