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キミがスキ!~すべてのはじまり~

 だって、すべてはその時からボクの恋が始まったから……。 「君、名前は?」 「三毛」 「三毛? 猫っぽい名前だな」  むぅう。なんだか馬鹿にされてる?  ボクはキッと睨み返し、また龍サンと向き合った。 「族サンでも偉い人でも龍サンが好きです!!」  そう、ボクは、今は人間だけど、本当は人間じゃなかった。  猫だった頃、ボクがこの近くで夜のお散歩をしている時、龍サンが乗っているような黒いカタマリにひかれそうになったんだ。  それで、間一髪のところを龍サンに助けて貰った。  とっても無愛想で、怖かったけど、でも大きな手はあたたかくて……気がついたらその日以来、近所のおばあちゃんにお魚を貰って食べている時でもずっとずっと龍サンのことを考えていた。  そこから始まったボクの恋。  龍サンの隣にいるため、神様にお願いして人間にしてもらったんだ。だからボクは、龍サンの隣にいたい。  胸の前でグッと拳を作って、決意を新たにしていると、だけど龍サンは頑固だった。 「迷惑だ」  ぶっきらぼうな返事が返ってきた。  だけど……だけど!!  むぅうっ! めげないモン!! 「龍サン!!」  もう一回、お願いしようと声を上げれば――。 「いい加減にしろよ!」  眠りに入っていた草サンや川サンたちを起こしちゃうんじゃないかっていうくらいの大きな声があたりに響いた。  怒鳴られたって全然怖くないよ。龍サンが優しいこと、ボク知ってるモン!!  だからボクは、お月様がひょっこりお空に顔を出す頃、毎日龍サンのところに通った。  だけど、龍サンからは同じ言葉ばっかり。

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