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嫉妬。~心当たり~

 目尻に涙を溜めて、彼はそう言った。  ーー嫌う?  たしかに、こうして三毛を抱き締めるのはここへ来てからはじめてのことだ。  当然、布団も別にしてある。  だからだろう、三毛は俺を嫌っていると思い込んでいるのはーー。 「三毛、違う。お前を嫌っているのではなくて……」  まさか抱きたくなるからとも言えず、口ごもる俺に、三毛は、「ああ」と思い出したかのように頷いた。  どうやら三毛にも心当たりがあるらしい。  ここまでの話のくだりで悟った三毛は、さっきまで目尻に浮かんでいた涙が消えている。 「龍サン、ボクと交尾したくなったんだね?」  三毛はうんうんと何度も頷き、嬉しそうに笑みをつくる。  本当に三毛には敵わない。   「龍サン? 後尾は?」 「後で」  もう少し、この時間を堪能したい。  温かな三毛の体温を腕の中で感じていたい。  抱いている最中はおそらく、三毛を奪うことに必死になって、この幸せを噛みしめることができそうにないからーー。 「あと?」 「みんなが寝た後にーーもう少し暗くなってから」  窓からは赤い夕日が差し込んでいる。  この時間に抱いても誰も邪魔はしてこないが、俺としても気分というものがある。  寝静まった頃に、これ以上ないっていうくらいに三毛を泣かせてイかせたい。 「うん! それから後尾だね?」  三毛の耳孔にそっと囁きかけると、三毛は頷き、大きな声を上げた。  純粋すぎるのも困りものだ。  どうやって手を出したらいいのかわからなくなる。 「……そうだな」

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