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第69話 秘密
風呂から上がるのと同時に、机に置いてあった携帯が震えた
ディスプレイに 桃坂 佑吾の名前が表示されているのを確認すると、直ぐ手に取り そのまま耳に当てた
「はい」
『あ…佐倉⁇ 悪い…こんな時間に…』
「とんでもございません、いかがされましたか⁇」
『…実は』
事のあらましを聞くと、同じ机に置いていた度の入っていないいつもの眼鏡をかけた
「そういう事でしたら、私 少しアテが御座いますので、直ぐにお持ち出来ると思います」
『本当か⁉︎ 助かる‼︎』
電話の向こうで 佑吾様がどんな表情をしているのか想像がついてしまい、思わず フッと笑ってしまった
「では後ほど」
『ああ‼︎ 佐倉 本当にありがとう‼︎』
「いえ…」
通話を終了させると そのまま目の前の椅子に座り、床に置いてあった鞄からキーケースを取り出した
よくあるタイプのこの机は 右側に引き出しが付いていて、一番上だけ鍵が かかるようになっている
そのロックを解除すると、中から 佐倉 真也様 と書かれた薬袋を数枚取り出した
そこから幾つか薬を選び、キッチンにあったジップロックに入れると 着ていた部屋着を脱いで スーツに袖を通した
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