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第71話 秘密 Ⅲ

家に着くと 直ぐに目の上に、冷却ジェルを乗せた 明日 晴れた目でお迎えに上がるわけにはいかない 『実は…番になろうと思っている子がいるんだ』 昨日 帰りの車で そう切り出されて、直ぐにミラーで 自分の顔を確認した 平静を装えている事にホッとして、少し間を置いてから いつもの声のトーンを意識しながら質問を投げかけた 『左様でございますか…どんな方なんですか⁇』 『…実は』 話を聞いて かなり驚いた 売春場の話は 自分の耳にも入っていて、何て恐ろしい場所があるんだろうと思っていた 自分の今の環境に 感謝しかない でも そこに居たからこそ、この方に見初められたのなら… 『…佑吾様がお決めになった方なら、きっと素敵な方なんでしょうね』 『ああ…すごく…可愛いくて 良い子だよ』 そう言って 目を細める表情から 愛しさが伝わって来る きっとその子は、この先 幸せになれるだろう だって ずっとこの方と一緒に居られるのだから… 『そうですか…いつか私にも 会わせて下さい』 そのいつかは 次の日になった 色素の薄い少年は、可憐で儚げで 守ってあげたくなる様な子だった きっと今まで、自分の想像が及ばない様な経験をしてきている 同じΩとして 優しくしてあげたいと思ったし、佑吾様が幸せなら それを祝福したいのに… 「……ふ…っ…う…」 そう思うのに どうしても涙が止まらなくて、人の幸せを喜んであげられない そんな自分に嫌気が差す 「…はぁ」 大きく息を吐き出すと、ぬるくなってしまった冷却剤を手に取り 新しいものを乗せる為に 冷凍庫へと向かった

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