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第25話 外出 Ⅵ

「楽しかった⁇」 タクシー乗り場に向かう途中で 今日の感想を尋ねると 創は 一生懸命 首を縦に動かしている 「…ゆ ゆうごは⁇」 不安そうな顔で 俺を見上げてきた為、帽子を取っていた創の頭を くしゃくしゃと撫でた 「楽しかったよ こういうの久々だったし すごい息抜きになった」 俺がそう告げると ホッとした様な表情に変わる 今日一日で 随分創と目が合う様になった 俯きがちだったのが 顔を上げる様になってくれて、それもすごく嬉しかった タクシーに乗り込むと 数分も経たないうちに創の首が前後に動き出した その顔を覗き込むと 今にも瞼が落ちそうで、俺は 自分の方に 小さな頭を傾けさせた 「着いたら起こすから 寝てて良いよ」 俺の言葉に僅かに頷くと 直ぐに寝息が聞こえだした 手を絡めると 意識が無い筈なのに握り返してくれて無意識に顔が緩む 「…本当 楽しかった」 そう小さく呟いた俺は 今日の目標が達成出来た喜びに 打ち拉がれたのだった

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