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第29話 感冒 Ⅱ〜side創〜

普段 裸で過ごす事の方が多い僕は、変な話 風邪には慣れッ子だった 買われていれば 熱があっても 喉が痛くても 止めてくれる人なんていない むしろ 『そ〜くん また熱出ちゃったの⁇ お薬あげよっか⁇ 俺のコレ 処理してくれたらね♡』 『あ〜 中熱い… 気持ち〜』 皆 僕の事 同じ人だと思ってないんだ だから 僕も自分の事 人形だと思う様になった その方が 僕も楽だったから 『大丈夫⁇ 何かして欲しい事ある⁇』 優しい記憶は 封印したんだ 思い出に縋ると 今の自分との差に 落胆しか起きないから 迎えになんて 来てもらえないだから もう全部諦めてたのに 「…ん」 熱を持った額が ひんやりして気持ち良い ゆっくり瞼を持ち上げると ゆうごの背中が見えて、僕は目をこすった 消えないという事は どうやら幻覚ではないらしい 「…ゆ……ご…」 呼び掛ければ振り向いてくれて、心配そうに僕の顔を覗き込んでいる 「ごめん 起こしたな」 その言葉に僕が首を左右に振ると手の甲で僕の頬に触れた 額と同じく ヒヤッとして気持ち良い 思わずその手に擦り寄ると、何故かゆうごは噎せ返っていて 心配になった 「ごめ…大丈夫だから…」 そう言ったゆうごの顔は、僕の風邪が移ってしまったのかと思う程 赤くなっていた

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