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第42話 本音 Ⅳ

悲しいわけじゃないのに 涙が止まらない ゆうごといると 胸の真ん中が温かくなる 上手く言葉に出来ないけど 僕の中の何かが溶けて、それが涙になっている気がした 「創…」 ゆうごはまた いつもの優しい顔に戻っていて、僕の頭を 大きな手で撫でてくれた 「…あ」 いいの⁇ 僕なんかが… 「創がいいんだ」 言葉にしてない筈なのに、ゆうごがそんな事を言ってくれるから、僕は嗚咽を交えて 泣きじゃくってしまった 「…う…っ…うぅ……ゆ…ゆ…ご…」 気持ちが 一言も言葉にならなくて もどかしい 代わりにゆうごの首に手を回し 思い切って抱き着いた ゆうごのYシャツが 僕の涙で濡れていく それでも僕の事を ゆうごも抱き締め返してくれた 「…創 俺と 番になってくれる⁇」 もう一度言ってくれたその台詞に、今度は首を 何度も縦に動かした そんな僕を見てゆうごは 「良かった… 嬉しい」と言ってくれた 僕は 目をごしごしと拭くと ゆうごを見上げた そして 今までずっと黙っていた事を告白する為に、小さく深呼吸をして 乱れていた息を整えた 「…ゆうご」 「ん⁇」 「…あのね」

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