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第140話 新居 Ⅴ〜side創〜

可愛いメロディが鳴って 僕はインターホンに駆け寄った ディスプレイの物井先生を確認してからスイッチを押すと、数分後には玄関のチャイムが鳴った 「はーい」 ドアを開けた先にいた物井先生は 明らかに元気がない様子で、どうしたのかと心配した次の瞬間 バッと効果音がつきそうな勢いで頭を下げられて、その勢いに驚いた僕は 無意識に体を後退させてしまった 「せ 先生⁇」 「創君!! 本っっ当にゴメン!!」 「あ あの…僕なら大丈夫ですよ⁇」 「いや、でも…本当に…本当にゴメン!!」 悲しそうな顔をしている物井先生に何とか前みたいに笑って欲しくて、僕の方から笑顔を向けた 「本当に大丈夫です…佑吾が…佑吾が いっぱい優しくてくれたから」 「創君…」 「それに 佑吾が言ってました  物井先生が 一緒にいてくれなかったら、もっと時間が かかっていたと思うって…  先生 僕の事捜してくれて、ありがとうございました」 「…いや…そんなの…全然」 それでもバツが悪そうな物井先生の手を引いて家の中に招き入れた 「僕…また頑張りたいんです  佑吾と番になりたいから…  先生、またよろしくお願いします」 僕の言葉に物井先生は戸惑いながらも笑顔を作ってくれた 「俺に出来る事があったら 何でも言って⁇  あと、これ 大したものじゃないんだけど、良かったら桃と食べて⁇」 「わぁ、良いんですか⁇ ありがとうございます」 僕がその箱を受け取ると やっと物井先生は前みたいに笑ってくれて、僕も心の底から湧き上がる笑顔を やっと返す事が出来た

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