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第142話 聖夜Ⅱ

ガチャガチャと玄関から音がして、問題を解いていた手を止め 時計を見た 時刻は20時を示しており、ここ最近では考えられない佑吾の帰宅時間に 僕は慌てて机の上を片付けた ドアに手を掛けようとしてハッとなり、何と無く髪を整えてから そっと扉を開いた 玄関では 丁度佑吾が靴を脱いでいる所で、沢山の袋が廊下に置いてあるのが見えた 「お お帰りなさい」 「ただいま 勉強してたのか⁇」 「うん、今日 早かったんだね」 飛びつきたい衝動をグッと堪えて、部屋のドアを後ろ手で閉めた 「今日くらいは 創とご飯食べたいと思ってさ」 佑吾の気持ちが凄く嬉しいのに、こうやってちゃんと話す事すら久しぶりな気がしてなんだか恥ずかしい 下げていた顔を上げると 佑吾が両手いっぱいに荷物を抱えていて、慌ててリビングのドアを開けた 「ありがと  色々買ってきたから 一緒に食べよう」 「うん」 佑吾は買ってきてくれた物を次々とテーブルの上に並べていく その中には クリスマスケーキも用意されていた 「全部出来合いでゴメンな  来年は ちゃんとした店行こう」 僕からしたら これでも充分過ぎる程だ 佑吾がそばに居る それだけで 本当に嬉しかった 「ありがとう」 背の高い佑吾を見上げながらお礼を言うと、コートを脱いだ佑吾が チュッとキスをしてくれた 「食べよ」 「うん」 佑吾が買って来てくれたご飯は どれもこれも美味しくて久々に食が進んだ 満腹になってソファに座ると 佑吾から紙袋を渡された 「なあに⁇」 「プレゼントっていうか 俺が創に持ってて欲しくて…  本当はもっと早く渡したかったんだけど、中々時間無くてさ」 渡された袋から小さな箱を取り出すと、その中には佑吾が使っている物と同じ携帯電話が入っていた 「もし 外に行く機会があったら 絶対コレ持って行って⁇ 今後そういう事も増えると思うから」 「うん、ありがとう」 携帯がというよりかは 単純に佑吾とお揃いの物が嬉しかった その後 佑吾に操作方法を教えてもらい、夢中になっている内に 夜はどんどん更けていった

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