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第183話 入学式 Ⅲ〜side理央〜

「ここがA組」 「はい…」 蓮君に促されて創が教室に入ると教室内が騒めいた 皆チラチラと創を見ながら、小さい声で何かを呟いている 無理もないよね こんな可愛い子、男子校のうちじゃ注目されちゃうよ しかも外部受験は1/4程度で殆どが中等部からの持ち上がりだ 只でさえ受験組は目立つのに、この子大丈夫かな⁇ 「昼休みとか放課後は大体生徒会室にいるし、何か困った事あったら連絡して」 「あ、僕も一応生徒会役員だから割といるよ  何かあったらいつでもおいで〜」 可愛い後輩にそう告げると、不安そうな顔が少しだけ明るくなった 同じΩ同士仲良くしたい 「は、はい…ありがとうございます」 「ん  黒板に座席表貼ってあると思うから、自分の席で先生来るまで待ってな」 「はい…」 創はぺこりと頭を下げるその仕草まで可愛らしい 手を振った後、来た道を戻りながら蓮君をチラリと見上げた 「優しいね」 「ん⁇ まあ…あの二人には上手くいってもらわないと困るからな」 成る程ね…そういう事… 一連の事に一人納得して頷くと、そろりと蓮君の顔を覗き込んだ 「佐倉さんには会えた⁇」 「…うん」 あ…今少しだけ口角上がった 嬉しいんだ 「良かったね、これからほぼ毎日会えるじゃん」 「ああ…」 本当に嬉しそうでちょっと悔しいけど、蓮君のその表情が堪らなく好き 蓮君は無表情で何考えてるか分からないって言う人が沢山いるけど全然そんな事ないんだよ ちゃんと喜怒哀楽あるんだから 少し分かりにくいだけ 言い方がストレートなだけですごく優しいし、それに好きな人に一途でそんな所も大好き 蓮君は僕の事、何とも思ってないけどね 前にパーティー会場で初めて見た佐倉さんは、僕とは正反対のタイプでその日はすごく落ち込んだ でも 学校に来れば、やっぱり蓮君ばっかり見ちゃうし好きって思っちゃう だからね、蓮君が佐倉さんにハッキリ振られたら、その時はもしかしたら僕を選んでくれるかもって そんな事に期待して、こうやって側に居る 好きな人の不幸を願うなんて、僕って嫌な奴だよね

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