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第190話 魅了

「健 部活行くの⁇」 「おう、また明日な」 「うん バイバイ」 健に手を振った後、携帯を開いた 佐倉さんから お迎えが少し遅れてしまうとの連絡が入っていて、どうしようかなと顎に手を当てて悩んでいた 健が居ない教室は 少しだけ不安 囲まれちゃうと上手く話せないし、下手したら佐倉さんを待たせちゃうかも 蓮さんや理央さんはいつでも来て良いって言ってくれたけど、用も無いのに生徒会室に行くのは流石に気が引けるし、忙しかったら申し訳ない 「…そうだ!!」 鞄に必要な物を詰めると、学校案内で 一番気になっていた図書室に向かった 一面の本棚に心ときめいたのを思い出して、軽い足取りで廊下を進んだ 敬聖学園は教室のある本館と、図書室や生徒会室などがある別館が、各階の渡り廊下で繋がっている その廊下は窓が大きくて、校庭も良く見渡せた 放課後の今は 皆部活に励んでいる その廊下を渡り切って 3階にある図書室へ向かった 階段を登りきり 一番奥のその部屋へ向かう途中、いきなり後ろから腕を引かれた 声を出そうとしたが同時に口も塞がれてしまい、そのままズルズルと直ぐ側の空き教室に引き摺り込まれてしまった

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