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第21話
「レスト……」
名前を呼ぶと耳をこちらに向けて反応する。その反応が可愛くて手を伸ばして耳を撫でると気持ちよさそうに目を閉じるレスト。
「……レスト」
そっと目を開けたレストが鼻先を首筋に擦り付けてくる。そして舌を伸ばして首筋や顎を舐め、片手がクレエの反り勃ったモノに触れた。
「っ、ふっ……」
誰にも触られたことのない勃った状態のそれをレストの大きな手が包み込む。同時に指の腹で滴る汁の出口を撫で回す。包んだ手がゆるゆると上下に動き、粘り気のある液体がしとどに溢れレストの指で広げられていく。
「ふっ、あっ、んっ……んんっ……」
やがて水音が響き渡り、上下に扱かれたモノは硬く膨張して今にも弾けそうに高まる。
レストの手の動きに合わせて漏れる声はもう羞恥を忘れ、ただ快楽だけを拾って喘ぎ続けた。
「クレエ……」
切羽詰まった声で名を呼ばれ、うっとりと銀色の狼を見つめる。
猛りきったそれから手を離され、その手はそっと下の方へ移動していく。
レストの尻尾が器用に動いてクレエの膝裏に入り、左足を大きく開かせる。すかさずそこにレストの身体が割り込み肩に左足が掛けられる。
臀部が丸見えになった姿勢に羞恥よりもこれから何をされるのかという期待の方が勝り、クレエは喉を鳴らした。
後孔は濡れ窄み、αの熱を待っている。
発情期になる度に疼き渇いて、誰でもいいから満たしてほしいと狂い喘いだ。Ωの性質なのだから仕方ないと分かってはいても、誰でもいいと思ってしまう自分に嫌悪していた。たとえ発情期を抑える為に仮の番を作っても発情期はなくならない。ただ不特定多数を誘惑しないで済むだけだ。それなら宮殿の奥で暮らしているのと変わらない。形だけの番ならいらない。
ずっとそう思っていたのに、どうして今、心が満たされているのだろう。
誰かを愛しても結ばれやしないと諦めていたくせに、本当はずっと愛されたかった。ただ一人、王子でもΩでもなく、クレエという存在を求めて欲しかった。
その祈るような願いを叶えてくれたのは、他でもない目の前にいる獣人の騎士。
「レスト……お願い……誰とも結婚なんかしないで……」
何の見返りもなく愛される喜びを知ってしまった。知ってしまうと欲が深くなる。
「オレだけを愛してよ……」
そうして項に牙をたてて番の印をつけてほしい。何も持たない王子だけれど、狼の騎士に最愛を捧げるから。
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