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第10話〜あいつ〜
ドアを開けるとそいつはニコニコして立っていた。
「お前唐突すぎるんだよバカ。」
「うわひっでぇ〜」
酷いと言いながらもゲラゲラと笑っているそいつ。
こいつは東 奏斗。
高校からの友達で、バカと言いつつなんだかんだ仲はいい。
ピアスを5つ、きっちりとセットしてある髪で見た目は随分チャラい。
いや中身もチャラいのだが、ちゃんとする時にはちゃんとする奴だ。
そしてその整った顔立ちで学生時代はよくいろんな女子達と遊んでいたのを覚えている。
奏斗は玄関に俺以外の靴が置いてあるのに気付きあれー?という。
「もしかして先客がいたから無理っつったのー?
それはごめーん!
でもお邪魔しまーす!」
奏斗は自分の家のようにズカズカと家に入っていく。
鍵を閉めてリビングに行くのだが、何故か南と奏斗は顔を合わせて固まっていた。
「え、どうした…?」
俺の声にハッとしたふたりは一斉に俺の顔を見た。
南は俺の服をキュッと握り俺の背後に隠れるし、奏斗は『誰々この子!!!超可愛いんですけど!!!いつ知り合ったの?!?ねぇ!?!?』と大騒ぎだ。
なんというカオスな空間だ…
とりあえず自己紹介だな。
俺はそれぞれお互いに紹介し、事の経緯を伝えた。
「ふんふん、なるほどね。
つか南ちゃんって呼んでいい?
俺は奏斗でいいぜ!」
「えっと、東さんでいいです…」
「むっちゃ警戒されてんだけど!!
え、てか南ちゃん男?女?」
「男です!!」
奏斗の気持ちは充分わかる。
確かに南の顔を見て迷うだろう。
しかし少し声が低いため考えさせられる。
だが………
男か女かと問われて少し怒った南がなんとも可愛い。
頬を少し膨らませ、ちょっとだけ潤んだ真っ直ぐな瞳…
でもその見つめる先が奏斗というので少しモヤっとしてしまったのは何故だろう。
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