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第15話〜電話〜

〜南side〜 さて、電話するぞ!ってなってハルは携帯を貸そうとしてくれたけどもしもの時のために断った。 東さんは用があるらしくて帰っちゃったから、僕は今からハルと一緒に公衆電話のところまで行く。 ハルは『公衆電話がだんだん少なくなってきてて見つけにくいな』って言ってるけどほんとにそうだと思う。 ハルの家の近くにはなかったから、今は駅の方に向かってる途中。 駅に着いたら電話があって、僕は少しお金を貰って電話することになった。 電話番号は覚えてる。 あの忌々しい家の電話番号。一生かけることはないと思ってた。 ハルは僕が見える位置で待っててくれてるから急いで電話をしようと思うけど緊張してしまう… 何せ家出した日以来連絡は何もないんだから… 少し震える手でボタンを押す。 相手が出るまでドキドキしてると急にガチャりと音がした。 【はい、こちら藍川ですが。】 出てきたのが僕が思ってる人じゃなくてほっとしてる自分がいた。 「僕、南です…」 【まぁ! 今どこにいらっしゃるんですか?】 「…秘密…。 えと、用だけ言いに来ました。 これから僕違う家に住みます。親にもそう伝えておいてください…」 え?と相手が言った直後急に声が変わってびっくりした。 さっきまで高かった声がいきなり低く… 【南、俺だ。分かるよな?】 「はい…」 【家出した時は驚いたよ、あの南がってね。 で?新しい家って?別にいいけどたまには顔を見せにこい。 ずっと会ってないと酷く当たっちまいそうでよ。】 少し前まで忘れていた恐怖がこみ上げてくる。 【あの人には俺が言っとくから。じゃ。】 そう言って電話は切れてしまった… …兎に角あの家に戻るつもりなんてない。 さっきの言葉だって、僕が帰ってきたらもう外には出さないって決めてるくせに。 僕はさっきの恐怖がまだ抜けていないのか、それとも寂しかったからなのか、電話ボックスから出たあと僕はハルにぎゅーっと抱きついた。

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