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第18話〜遭遇〜
朝南と一緒に朝ごはんを食いながら、昨日の事をずっと考えていたけれど結局答えは見つからなかったので、考えることを放棄した。
今日はこの後2人で南の服と下着を買いに行く予定だ。
朝ごはんを食べて支度をした後、俺の車で服屋に行った。
あれも似合う、これも似合うで結構買いすぎたかもしれない…
「ハル、ちょっと買いすぎじゃない?」
…なんと南にまで言われてしまった。
「んー…。まぁあるに越したことはないだろ。
貰えるもんは貰っとけ。」
そうかなぁ…と南は唇をちょっとだけ尖らしてるけどなんだそれ。
可愛いもの以外の何物でもない…
「南。今は仕方ないとして今後俺以外の前でそんな顔するなよ…
その顔可愛すぎ。他のやつが見たら完璧南に惚れる」
「え?」
言ったあとに気づいた。
何だこの独占欲丸出しは!
それに急に言われても戸惑うし気持ち悪いなよな…
「ごめん、やっぱ今の無し」
俺はさっきの言葉を修正したのだが、何故か南は『いや』と言ってきた。
「さっきのハル可愛かったし、僕は嬉しかったのに無しとか言わないで…!」
「えっ、あの独占欲丸出しの言葉が嬉しかったのか?」
少し照れたように南は小さく頷いた。
「つまり縛られたい…ってこと?」
「えぇ…っと、違うような〜、違くないような〜?」
何度も首を傾げている南はまたしてもかわいさパンチをかましてきやがった。
それよりも、嬉しかったって…
それって、
もしかして………
「南ってM?」
「えぇ?!」
なんでそうなったの!?と南は本気でびっくりしていた。
俺達はいつの間にか可愛いという話からSかMかという話になりながら駐車場に向かった。
あ、今の南楽しそう
南の素の笑顔で俺まで笑顔になってくる。
それにニコニコ笑ってる姿はどこからどう見てもボーイッシュな女の子の様だった。
だからそんなこと思っていた俺は油断してたのかもしれない。
不意に南が知らない男に手を掴まれた。
「南!?
…おい、お前誰だよ!
南の手離せよ!」
男は俺の存在に気づいたのかへらっと笑った。
対して南はスマホのバイブレーションの様に凄く震えている。
すると20代前半に見える男は俺に軽く一礼したあと自己紹介をしてきた。
「俺、南の兄の陽向です。」
それだけ言って、俺にはもう用は済んだとばかりに直ぐに南に顔を向けた。
「ひな、兄…」
「南。あの人がこの前電話で言ってた人か。
髪を切ったんだな。よく顔が見える。
それよりここで買い物か?なら家が近いのか?」
この南の兄と名乗る人は矢継ぎ早に質問を浴びせてきた。
南はもう涙を流す寸前なのに、そんなことも気にせず話し続けている。
すると何も答えずただ震えている南にうんざりしたのか、俺に聞こえないように南に耳打ちをした。
「わかったか?南。」
南に何を言ったのか俺にはわからないが、とにかくこの状況がまずいということだけは分かる。
「あの、陽向さん…?
南今何も答えられそうにないんで、また今度にしたらどうです?」
「今度っていつですか?」
しまった…
つい次回の約束を取り付けようとしてしまった。
南の様子を見るに2人をあまり合わせない方がいいのかもしれないのに。
とりあえず予定が空いた日ということで陽向さんの連絡先をもらっておいた。
今日はもうこのまま帰っても大丈夫だろう。
俺は急いで南と車に向かった。
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