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第20話〜2〜
〜南side〜
買い物をしている時はとても楽しかった。
このまま家に帰って、まだ楽しい気持ちでいたいのに………僕の家族が邪魔をする。
ハルと楽しくお話してたのに、急に強く手を掴まれた。
振り向いたら実兄がいて、すごく驚いたのを覚えている。
なんでひな兄がここにいるの?っていうのと同時に、ハルとひな兄を合わせたくなかったっていう後悔。
なんの予告もなしにひな兄と会っちゃったから震えが止まらない…
昔からそうだった。
ただただ震えることしか出来ない。
ひな兄は僕に質問をしてくるけど、上手く口が回らなくて何も答えられなかった。
そんな僕に呆れたのかひな兄はハルに聞こえないように、そっと、信じ難い言葉を呟く。
『お前がこのままあいつの家に居たいなら居てもいいけど、あいつってお前の好きな小説家のキタヤってやつだろ?
ずっとお前らが一緒に居るなら俺、あいつに何するか分かんないかも。もしかしたら一生小説書けなくなるかもな。
俺達の家に帰る方が、みんなにとっていいと思うけど?』
意地悪く笑うひな兄だけど、僕は全然笑えない…
僕の一存で先生のファンが悲しむようなことはしたくない。
これは僕の問題だ。
ハルに迷惑をかけたくない。
僕が走りゆく車の中でぼーっとしてると何かハルは悩んでいる様子だった。
…さっきのことだろうな。
ひな兄とあった時、ハルはわかりやすく『ほんとにこいつと兄弟か!?』といった顔だった。
僕はお母さん似で、ひな兄はお父さん似だからあまり似ていない。
よく他の人にも影で継子ではないかと言われていた。
だからまずその事だけはハルに伝えておいた。
ハルは僕の言葉を信じるらしい。
僕がほんとのお兄ちゃんって言ったら、さっきの顔とは大違いだった。
でも僕の今までの話を聞いて、軽蔑してくれたらいいのに。
そしたら、きっと僕を家に居させないだろうから…
あぁ、このまま時が止まればいいのに……
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