30 / 207

第30話〜10〜

けどちさ兄が部屋を出る時に言った『約束を作る』がよく分からなかった。 だってもう僕はちさ兄の相手をする必要が無いんだから意味がない。 頭がぐちゃぐちゃになるほど考えてたらいつの間にか夜で、ひな兄が来た。 なんというか、ひな兄はちさ兄と違って全然行為が終わらない。 もしかして、ちさ兄はまだ最初だからすぐに終わらせたのかもと気づいた。 だって体力的にちさ兄はひな兄を上回ってる。 そんなちさ兄が早くバテるなんてありえない。 そしてひな兄の時には途中から記憶が無くて僕変な事言ってないかな…っていう心配が押し寄せてきた。 目が覚めたらもう昼で寝すぎた!って焦る。 でも異常に腰が痛くてあまり起き上がれなかった。 何故か喉も痛いし… 「起きた?」 「ッ、ひな兄…。」 何しに来たんだろうか… もうひな兄とは関わることもほとんど無いよね… ひな兄は僕に話しかけることもなくただスマホをいじっていた。 ほんとに何しに来たの…? 僕が戸惑ってると、急にひな兄が口を開く。 「今日はちさ兄とだから。」 「…は?」 間抜けな声が出た。 意味がわからない。 ひな兄の言いたいことは分かる。けど、また? おかしい… 僕が分かってないことに気づいたひな兄はスマホを僕に見せた。 見てみるとそれは動画で、昨日の淫らな僕の姿が撮影されていた。 『ひっあ、も、むりぃ、! イかせてぇ! 死んじゃっ、んあっあっ』 『んじゃ俺の言うことこれからなんでも従う?』 『したがぅ!したがぅから、イかせてぇ!』 『いい子。』 そして動画の中の僕は気持ちよさそうに達していた。 恥ずかしいという気持ちよりも僕こんなの言った記憶が無い…ということだけ。 どうしよう、とんでもないことを約束してしまったのでは…? そしてここからはもう辛いことだらけだった。 最初の頃は約束だけで、と思って反抗したりもした。でもその度に僕が気絶するまで殴り、気絶したならばまた暴行をふるって、意識を手放すことが難しかった。 ひな兄はちさ兄の言いなりでよく僕は2人に抱かれた。 もうずっと抱かれるなら欲しいものを言っても何も現状は変わらないんだしいいよね……… 僕が誕生日の時や何かいい事があった時は優しく、何か気に障るようなことや欲しいものがある時は酷く抱かれた。 約束事をずっと気になっていたけど、それは直ぐにわかった。 それは、 《決して逆らわないこと。 兄達より先にイかないこと。 タメ口を辞めること。》 約束を破ると玩具を僕の中に入れられたままずっと放置された。 でも行為が終わった時僕はいつも気を失っていた。 しかし起きたらいつも綺麗になってたから聞いたことがあった。 そしたら、『毎日使うんだから体調崩されたらめんどくさいだろ』って。 道具扱いだった。 …何年続いたんだろう。 もう僕は2人の兄が恐怖の対象でしかなかった。 何を話しかけられても黙って震えるだけ。 でもそうすると蹴られるから、一生懸命話そうとするが声は出ない。 たまに見るお父さんには睨まれるか罵倒を浴びるだけ。 僕の心の支えはキタヤ先生が書く本だけだった。

ともだちにシェアしよう!