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第112話〜喧嘩した?〜

〜晴也side〜  南の様子がおかしくてとても気になるが、まずは夕飯を作らなければならない。  ご飯を作って寝室に向かうと、南はぐっすり眠っていた。 ほんとに疲れていたのだろうか。 まだ南は寝ているようだしそのままにしておこう。 そう思った時だ。 南の寝言が耳に入った。 「ゔぅ…お母、さん…お母さん…」 南はそう言いながら苦しそうに泣いている。 何だか、南と初めて会った時の夜を思い出す… いやそんなことより起こした方がいいだろう。 「南ー、おーい南ー、」 「ぅ…ん?」 「おはよ。…魘されてたけど大丈夫か?」 そう言って優しく涙を拭う。 すると驚いた顔で南は自分で触り確かめた。 「あれ…?僕、泣いてた?」 「…うん」 「な、んで?…………あれ、僕なんの夢見てたんだっけ?」 「いや俺に聞かれても…」 「あっそっか。」 寝惚けてるのか? あの寝言のことは………言わなくていいか。 もしそれで嫌な夢を思い出すのは酷だろう… そうだ。 俺は南の様子を見るついでに夕飯はいるか聞きに来たんだった。 「なぁ南。夕飯食べれそうか?」 「……その、優さんってまだいる?」 「いるけど…」 「じゃあまだ夕飯いいや…」 もしかして優と喧嘩したのか? 2人が喧嘩するのはあまり想像出来ないが… とりあえず分かったとだけ言い、俺はリビングに向かった。 リビングに行くとご飯を頬張りながら優が呑気に話しかけてくる。 「どうだったー?」 「なぁ優、お前南と喧嘩した?」 「南くんがそう言ってたの?」 「いや違うけど…」 「うーん、僕は喧嘩なんかしてるつもりないけど〜。僕なんかやっちゃったかな?」 ………有り得る。 優の何気ない言葉に南が傷つく…とか。 「お前なんか南に言った?」 「えー覚えてないよそんなことー! てかなにこれめっちゃ美味しい〜!僕ハルくんが作るご飯好き〜」 「そりゃどーも」 なんかはぐらかされた気がするが、もうこれ以上優からは何も聞けないだろう。  優がご飯を食べた後すぐ家から追い出した。 まだいるやらなんやら言ってたが南のことが心配だ。 それに優がいるなら夕食を食べないと言っていたんだ。さすがにお腹が空いているだろう… 「南ー?もう優帰ったぞ?」 もぞもぞと動き、布団から顔だけ出した南。 正直言って小動物みたいで可愛い… つい…出来心でプクりとした頬をつんつんとしたのだが、穏やかだった心はすぐに慌てることになった。 「えっ!???!あっつ!!!!!!」

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