125 / 207

第125話〜理由探し〜

もうハルとバイバイしちゃう… 「あれ、荷物は?ねーの?」 東さんのその声でハッとする。 そうだ、荷物まとめていないんだからまだここにいれる! そう期待したのも束の間…… 「はいこれ。」 ハルが東さんに荷物を差し出した。 「お、あるんじゃーん。んじゃもう行くだけ?」 「あぁ」 もう行っちゃう…… 泣いちゃダメ、泣いちゃダメ。 ハルに迷惑をかけちゃダメ… そう思って、僕は最後に精一杯の笑顔で言った。 「バイバイ、ハル。楽しかった」 本当は『大好き』って言おうと思った。 でもそれはハルを悩ませると思うから……この言葉は心の中で言った。 外に出ると青い車が止まってた。 「乗って〜」 どうやらこれは東さんの車らしい。 ていうか東さんの髪色といい車の色といい… 「青色が好きなんだね…」 僕の問いに東さんは笑って答えた。 「まぁね〜!ほら青ってなんか落ち着く事ね?こう…安心するっていうか…」 「わかる気がします…」 僕は何か話してないと二人きりが気まずくて、景色を見ながら話題を探した。 そうとう必死だったのか、その様子を見て東さんはくすりと笑ったのがわかった。 「あんま話したくないことだったらいいんだけどさー、なんで別れたん?」 ほ、ほんとに話しづらい話で戸惑う… でもこのモヤモヤを話したらスッキリするんじゃないか…って思って正直に言うことにした。 「……分かんない。」 「え?」 「その、いきなり別れてって言われて…僕迷惑かけたくないから、うんって………」 「いやいやいや!!!え!?理由聞かなかったの!?え!?なんで!?」 なんで…なんでって言われても… 「ハルが決めたことだから?」 その時東さんは大きく溜息をした。 「南ちゃんさ…考えよう。」 「…え?」 言っていることがわからなくて聞き返した。 「んー、なんで晴が別れようって言ったのかさ。だって理由も分からず別れるとか嫌じゃない?モヤモヤすることない?」 東さんの言ってることは的を射ていて、相談してよかったと心から思えた。 どうやら東さんは人の相談に乗るのも上手いらしい…

ともだちにシェアしよう!