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第152話〜楽屋〜
楽屋に入るまでに沢山の人が挨拶をしてくれる。
ちゃんと挨拶はするものの、やはり皆南が気になるのだろう。
あからさまに南を凝視している。
南もそれに気づいているのか、さっきからずっと力強く手を繋いでいた。
楽屋に着くと、直ぐにスタッフさんが駆け寄ってくる。
このお団子頭の女性は角谷 蛍
俺のヘアスタイリストさん
結構長い付き合いだ。
「先生おはようございます!相変わらずイケメンですね!!
さっ、こっちに座ってください!
髪の毛整えますよ!」
「えっ。そんなやらなくていいですよ…?
ただの小説家にそんなしなくても……」
「身だしなみはしっかりしておいた方が何かといいんです〜!
ていうか、私がやりたいんですっ!
ダメですか?」
そこまで言われるともう引き下がれない。
俺は渋々椅子に座った。
本当はサイン会までここで南と二人っきりで居る予定だったのだが、仕方ない……
俺は座りながら南と話すことにした。
少し話していると、蛍さんが気になった様子で声をかけてきた。
「さっきから気になってたんですけど、この子って………何方、でしょうか??」
ああ、そうか。
ここまで南のことは伝わってなかったのだろう。
「この子は、」
俺の恋人です。
そう言おうとした時、ずっと黙っていた花さんが声を上げた。
「先生の恋人ですよぉ〜!」
「えっ!!??!???!?」
意外にも大きな声で、南と俺だけじゃなく、花さんも驚いていた。
「せ、先生っ、ほんとなんですか!?」
「まぁ…」
「うそぉ〜!私狙ってたのにー!!」
「それ本人の前で言わないでくださいよ…」
正直、反応に困る。
「うーん、でも、この子なら納得かも。」
「どういうことですか??」
それに南が食いついた。
「えー?だって………………えっと、何くん?」
「南です」
「南くん!名前も可愛いね!」
「いやいやいや!」
激しく首を振っていて、それすらクスッとしてしまう。
それを見て、また蛍さんは口を膨らませた。
「えー、なんか今、イチャイチャ見せつけられた感じがしますー!」
「えっ!?どこがですか!」
「分からないんですか!?今先生すごい幸せそうな顔してましたけど…!?」
今度は蛍さんまでオロオロしだしてなんともカオスな空間となった…………
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