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第153話〜2〜
「はぁ〜い、けーちゃんはやってたことをやってね〜」
そんな時に、花さんが声をかけた。
「あっ、そうでした!すみません先生!」
「大丈夫ですよ」
こうしてまた蛍さんは手を動かし始めた。
「南くん、これ食べる?」
クッキーを食べ、それと同じものを南にも花さんは渡した。
「……いいんですか?」
「もちろん」
本当にいいの?という顔で、俺の方を見る。
そんなの南が決めていいことなのに……
相変わらず南は少し、人を信じない節がある。
どうやったらそれがなくなるか……………
あぁ、いや、今はサイン会のことだけ考えよう。
南はおずおずと菓子を口に含んだ。
「っ!!これ、おいひいです!」
「南、ゆっくり食べな」
コクコクと頷く。
蛍さんが俺の髪を弄り終わると、今度は南の方を見た。
「南くんも座ってください!」
「え?」
「こんなに可愛いのに、何もしないなんて勿体ないですよ!!!」
「でも、僕男だし…」
「そんなの誰も何も思いませんよ!てか、南くんは何やっても可愛いと思うんですよねー!」
「ゔ………………………………………………ハル、僕ってそんなに男っぽくない??」
これは……どう答えればいいだろうか。
可愛いといえば可愛い。ていうか、カッコイイより可愛いの方が比率はでかい。
でも男っぽくないといえばそうでもない。
俺が悩んでいると花さんが助けに来てくれた。
「南くんはぁ、先生にどう思って欲しいんですかぁ?」
「え?好きって思って欲しいです」
多分……………花さんが聞いているのはそうじゃない気がするのだが……
あ、ほら。
花さんがあからさまに悩んでる。
助けてくれたのは有難いが、逆に花さんが悩んでしまえば本末転倒だろう。
楽屋内で静寂が流れる。
その時、何かを思いついたように蛍さんは南になにか耳打ちをした。
すると南は頷き、素直に椅子に座った。
一体、何を言ったんだ…………………
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