183 / 207
第183話〜彼女と彼の関係〜
〜優side〜
どうしよう
どうしよう
どうしよう…!!
なんでこんなところであいつと会うの!?
椅子に座りながら一人焦っていると、目の前の女がクスリと笑ったのがわかった。
「どうしたんですか?そんな一人で抱え込んじゃって。」
「いいの!!これは僕の問題なの!」
少し揶揄う様な言い方にムスッとしてしまう。
子供っぽいということは承知だ。けれど今はそんなこと考えている余裕さえない。
あいつは僕が2回目の大学に通っている時の元カレ……と言えるのだろうか。
いや僕は元カレだなんて思ってないし…!!
冷紫もそんな風には思ってない…よね?
だって付き合ってたといってもお試しだったから、ノーカンなはず。
「えっと、凛夢子さん…?」
「はい?」
「先ほど隣の部屋に行ったんですけど男の人がいて……
凛夢子さんと何か関係ありますか??」
「……気になるんですか?」
気になる?
気になると言えば気になる…かな。
だってこんな偶然あるはずがないし、それに隣の部屋だって確かに彼女は言ったんだ。
「彼は…………………いや、先生が来たら言います。」
「はぁ、」
なんだろそのもったいぶりは。
とにかく、今晴くんは南くんを犯した人に話を聞いてるはずだ。
僕はここで大人しく待とう。
また冷紫に会ってさっきみたいになってもただ邪魔なだけ。
そう思って待っていると、10分ほど経った頃に晴くんと男は戻ってきた。
「お待たせ。」
「あ、晴くん…。話は聞けた?」
「まぁ。」
晴くんがそう答えたと同時に、またドアが開く音がした。
ここに5人はもう集まってるんだ。
ここに来る人はあいつしか……
「久しぶり」
やはりというかなんというか、やっぱり冷紫だった。
ていうか何でそんなにニコニコしていられるんだろうか。本当に意味がわからない。
すると隣に来た晴くんが、僕にしか聞こえない様な声で話しかけてきた。
「なんかあの人もついてくるってなっちゃったんだけど大丈夫?なんならやっぱり席外させようか?」
無意識なんだろうけど、やっぱりそういう優しいところがずるいと思う………!
そんなことされたら、諦めたはずの心がまた出てきちゃいそうになる…!
…………なんてこんな所で言える訳もなく。
「ううん、大丈夫。離れてたら安心だから。」
「そっか。」
で。
先ずはなんで冷紫がここにいるかが知りたい。
「凛夢子さん。晴くんも来たとこだし……その、なんでこいつがいるか教えてもらえませんか?」
「ふふっ、いいですよ。」
何故か緊張感が走る。
「彼、ここのホテルの顧問弁護士なんです。」
……………は?
「ごめん、全っっっ然意味わかんない。」
それと彼女の関係になんの繋がりがあるか全くもってわかんない。
一体この人は何が言いたいんだろう。
「…実はここ、私の家が経営してるホテルなんです。」
やっと彼との関係がわかり、納得する。
けれど普通、彼女がこんなことをしていたら冷紫だって止めるだろう。
ていうか知ってたのかも怪しい。
「えっとー、ここの顧問弁護士さん?」
「やだな、昔みたいに冷紫って呼んでよ。」
「絶対に呼ばない。
で、話戻すけど。彼女がああいうことしようとしてたのは知ってたの?」
もしここでYESが出たらこいつも絶対に頭がおかしい。
なのにこいつは、頷きながら『うん。知ってた。』と言ったのだから………救いようがない馬鹿とはこのことだ。
ともだちにシェアしよう!