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34《生涯の伴侶》

「けど、…オレは、Ωだから、途中でラウに見放されたら生きていけない…」 さっき黒狼が言っていた、人間には誓約がないから…簡単に捨てられる。その想いが、恐怖とともに心に刻まれていた。 種族を越えてツガイになること、そのリスク…急に不安が押し寄せる。 「アサト、俺は見放さない絶対に」 「(むれ)とオレ、秤にかけられても、オレを選んでくれる?」 「もちろんだ、一生アサトを守り愛する覚悟がある」 しっかりしていても、アサトはまだ17歳… これからの人生を決める決断をするのだから、不安になるのは当然… 「…(おさ)の地位を捨てられる?」 「あぁ、捨てられる」 「レイが反対しても負けない?」 「あぁ、負けない」 アサトの不安を安心に変えるため、一つずつ瞳を重ね、しっかりと答える。 「……っ」 「俺を信じてくれ」 そして真っ直ぐな眼差しで力強く言葉にする。 「…ん、うん、信じる、から…オレをラウのツガイにして…」 頷き、涙をぬぐい、ラウを信じてまっすぐ求める。 「あぁ、アサト…一生離さない、愛している」 その言葉を聞いて優しく微笑み、そっと抱き寄せ… 耳元で愛の言葉を囁いて、静かにソコへ牙を立て、甘噛みする。 「あぁッ…痛っラウ…!」 浮き上がるフェロモン腺にラウの犬歯が浅く食い込んできて…、身体中に電流が走るような衝撃が全身を襲い、びくんと身体を震わせる。 じんわりと身体の芯が熱くなっていく感覚… 「あ、あぁ…ハァ、これが…ツガイになる、こと」 発情の興奮も相まって、熱い息遣いが、次第に速くなっていく。 「アサト、凄く…いい匂いがする」 まだ、嗅覚の麻痺が完全に治っていない筈だが、それでも、なんとも言えない甘い香りが身体を奮わせる。 「身体が熱い、ラウ…こわい」 短時間に身体が変化していく感覚、今までに感じたことのない身体の変化に恐怖すら感じてしまう。 ラウは、ソコから発せられる甘い香りを嗅ぎ、首筋についた噛み痕を舐めながら、震えるアサトを優しく抱きしめる。 「大丈夫だ、今日からアサトは俺の伴侶だ、もう離さない、一生愛していくから」 「ラウ…うん、好き、オレも愛してるっ」 不安な時、いつもラウが受け止めてくれた。その包容力にずっと救われてきた…。 もう、オレには…このひとしかいない。 そっと囁き返して、たくましい身体へ縋りつく。

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