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始まりのストーリー
此れは僕と幼馴染の慧がまだ小さかった頃のお話。
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キーンコーンカーンコーン
「実!早く帰るぞ!」
「うん!慧!早く帰ろう!」
「望月君!早瀬君!廊下は走らないの!!」
小学校の終わる鐘の音を聞きながら、廊下を走り抜ける。先生の怒る声は無視をして、逃げる様に学校を後にした。
学校を出たら、小走りを辞めて本格的に走り始めた慧。
遠くなっていく慧に焦って僕が声を掛ければ
「まってよ!慧!早いよ!!」
「待ってられるかよ!
早く帰らないと○○(戦隊シリーズ)始まっちまう!」
と言って余計に走るペースを早め始める。
僕もそんな慧に焦って走るスピードを上げてみたが、意味も無く…運動音痴でマラソンもいつもドベ近くを走ってた僕とは違って慧は運動神経抜群で、マラソン大会もいつも1位だった。そんな慧に追いつけるわけもなく、どんどん距離が離されていく。
「実!はよ来ないと先に行っちまうぞー!」
「まって!待ってよ!慧ッ!」
慧から離されるのが嫌で必死に涙目になりながら後を追いかけていく。追いつきたくて、必死に走ってる筈なのに、距離は遠くなる一方。
「……はぁ、はぁ…!」
横腹も痛くなってきて。
足も走れなくなってきて。
慧の姿も見えなくなった時、僕は走るのを辞めてしまった。
「…ぅ…うぐ…グス…慧…」
涙がボロボロと目から溢れていく。
(慧と一緒で運動神経が良ければ良かったのに…そしたら慧の隣で一緒に帰れたかもしれないのに…僕の足の馬鹿馬鹿バカ…!)
心の中で自分を責める言葉を言いながら、トボトボと筋肉痛で痛む足と共に帰路を歩き始めた。
「…うぇ…グスッ…僕の…馬鹿ッ!…」
(慧と一緒に○○見たかったのに…なんで僕はこんなに…ノロマで、馬鹿で、おっちょこちょいな僕なんて…)
トボトボ…トボ…トボ…。
自分の嫌な事を言う度に、心臓が辛くなる。
嫌な部分が思い浮かぶ度、元から歩く速度は遅かったのに余計に遅くなり…もう歩くのも嫌になってその場に立ち止まってしまった。
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