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育みーエピローグー

そして無事に俺の発情期は終わりを迎えた。 また3ヶ月やそこらでやってくる発情期ではあるがこれでようやく人並みの生活が送れると安心した。 スパ銭でのレイプ事件があってから俺たちの心情は変わりつつあった。 ミケは今まで以上に仕事に励み、土木関係の資格を取得した。 俺は俺で、買春をすることをやめることにしたのだ。 俺らは番。 契約以上で結ばれた神聖な関係。 とある日、俺はいつも通り洗濯物を干しているとふいに気分の悪さを感じた。 具体的に言えば吐き気のようなものだ。 だが、トイレに駆け込んでもなかなか吐くほどではない。 そのまま、寝間に戻って布団に横になると意識が飛んで行くのを感じた。 「歩、歩、大丈夫か?」 ミケの声に目を覚ますと夜だった。 「あ、ミケごめん。俺」 「具合、悪いのか?」 「昼間、少し吐き気がしてさ」 おでこには濡らしたタオルが置かれていた。 「明日、病院に行こう?歩」 「いや、そんな大したことじゃないよ」 俺は遠慮した。 そのまま眠りについたが、夜が明けてみると有無を言わさないという姿勢のミケが俺の起床を待ち構えており、そのまま病院へと向かったのだ。 検査を終えた俺たちに医者は一言高らかに告げた。 「妊娠、おめでとう」 その言葉の重みが理解できないまま、俺たちは抱き合った。 まだまだ盤石な生活ではないけれど守るべきものができた瞬間である。 予定日まで半年。 いつ受精したかは分からなかったが、予定日まで半年なのである。 半年間の準備期間はあっという間だった。 いつも以上に、働くミケ。 そして、オメガ用の育児を勉強する俺。 そして、半年後。 冬の寒い日にその子は生まれた。 被毛は薄い茶色だが、立派な男の子のしかもアルファの獅子獣人である。 ミケの意志の強そうな目。 俺の憂いを含めたような面影。 そっくりの元気な赤ちゃんであった。 「歩」 「ミケ」 「「愛してるよ」」 毎日は少しずつ変化とともに過ぎる。 それでも積み重ねた月日は大きな意味を持っている。 俺とミケの間に生まれた獅子獣人、その名は「紡」。 人と人、時間と時間を紡いでほしいと名付けた大切な名前だ。

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