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片谷が不貞腐れた子どものような顔をしてそう言った。 まさか、忍が少し抱きしめられていただけで嫉妬しているというのか。 ──なんで、そんなに。 こんな露骨に好きだという雰囲気を出されたことなんて初めてで、自分でもどうすればいいのかわからない。 「……それに俺が生徒会に入ったら面倒なことになりそうなので。既に何人に告白されちゃったんですよ」 「え」 「当然断りました。俺は忍先輩一筋なので」 既にモテている。男に。 片谷なら女を選び放題なくせに、どうしてそこまでして忍にこだわるのだろうか。 「俺、別に金持ちってわけじゃないんだぞ? どっかの財閥のお嬢様でもないし。なにより君の家族が許さないだろそんなの」 「いえ、俺の父親は元々同性愛者でした。ですが、今の母親を好きになったのでそれなりに男同士だということに偏見はないんです」 「……」 「さっきも言いましたけどアメリカにいますし、俺がそうだと知っても受け入れてくれます。絶対に」 「……いや、でも……」 「忍先輩は美人ですし、大丈夫。俺が保証します。なんなら一緒にアメリカ行って会いに行きます?」 「やだ!」 全く人の話を聞いてくれない。 しかもこれ、どう考えても忍には得すぎる。 金持ち。イケメン。玉の輿。

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