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「忍さん、明日時間ありますか?」 「ああ、暇だけど」 「ベッドにあるぬいぐるみ。新しいの買いに行きましょうか」  片谷の提案に、忍が一瞬きょとんとした顔をしてすぐに嬉しそうに微笑んだ。 「どんなの買うの?」 「んー、そうですね。抱き心地がいいやつにしましょうか。忍さんが寂しくならないように」 「……ん?」  片谷の意味深な言葉に、忍がそう疑問の声を出した。  どうしよう。つい、笑ってしまった。 「かわいいやつか、ブサカワなやつか。悩みますね」 「……」 「んー、でもブサカワな方がいいかな」  忍がなにか言おうとしていたが、楽しそうな片谷の顔を見てため息をつき、片谷の肩にもたれかかってきた。  さらさらな黒い髪が首に当たる。 「忍さん?」 「そーだな。買うか。抱き心地がいいやつがいいかも」 「ふふ。色んなのいっぱい試していいの買いましょうね」  忍の頭をわっしわっし撫でる。忍が頭を撫でられて少しだけ嬉しそうに微笑んでいた。  晟が言ってたことを思い出す。 『あいつな、片谷くんと話せなかった日は寝るときにぬいぐるみ抱っこして寝てるんだって』  かわいすぎる。  忍のこの見た目からは連想できないくらいにかわいらしいことをする。  こういうところを好きになれて。  本当に幸せ者だ、自分は。 「……どうした?」 「いえ……幸せだなあって思って」 「……俺も」  この幸せが、これからもずっと続きますように。  今はもう、限定彼氏ではないから。              End.

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