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「そういえば晟。再来週の土曜日、高校の同窓会やるらしい。行く?」 「えー、行きてえけど……おまえは大丈夫なの?」 「なんでだよ」 「また騒がれんじゃね? ま、三十代にもなってそれはねえか」  あー、再来週忍いないのか。  だったら服でも借りて一人で抜こうかな。  いや、それよりも。  晟が言ったことがまだ頭から抜けなくて、なんだか焦れったくなる。  そんなの高校時代の話でとっくに過ぎていることなのに、動揺が止まらない。 「ねえ、まじで優都大丈夫か? 熱でもあんの?」 「違うんじゃね? ま、そっとしとけや」    晟のことをそっと睨むとかなりにやにやしている。  こうなることを予想していて片谷にあのタイミングで言ったのだろうか。だとしたらかなり意地が悪い。  忘れよう、忘れようとしても顔がにやついてしまう。  こんなのただの変態野郎だ。 「まあ、疲れてるんだな」 「そうだろ。癒してやれば? 忍くぅん」 「黙れ」  二杯目のビールを忍はどんどん飲み込んでいく。  その調子じゃあすぐに酔ってしまいそうだ。 「晟、おまえ亭主関白にはなるんじゃねーぞ? 嫌がられるからな」 「気をつけるわ。てか、逆に彼女さんの方がそんな感じだ。あれやれーこれやれーって」 「こき使われてんじゃん。よかったな」  忍もどっちかと言うとこき使う方だが、秘書のときだけはこき使われてくれている。  そのギャップが、たまらなくよかったりする。 「あ、俺ちっとトイレ行ってくるわ。ここでは盛んなよー」 「誰が盛るかっ」  晟がトイレへと向かった。  そのタイミングで、忍がそっと寄り添ってくる。なんだかんだ言って、忍は甘えたなのだ。 「どうしました? 忍さん」 「別に。晟がいたらこんな風にできないだろ? ちょっとだけだから」 「……はい」  こうやって甘えてくるところは、本当にかわいい。

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