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キレイナハナヲミツケタハナシ。

何の花が好きですか? 桜。 何故? ─それは── ヒラリ、ヒラリ… コンビニ帰り、1枚の花弁が風に揺られて宙を舞う。 目の前を通りすぎたそれは左に流れ、川面へ静かに着地した。 …はて。しかし、桜などここに咲いていただろうか? 俺の記憶が確かなら、この川沿いには柳と山茶花くらいしか無かった筈だ。 では何故? ふっ…と花弁のやって来た方へ視線を向ける。 1.5メートル程積まれた石垣。常緑樹の並ぶその道に、男が一人、木漏れ日のなか佇んでいた。 春の柔らかな光が差し込み、キラキラと何だか幻想的だ。 「こんにちは。」 いかん。綺麗だなぁ~なんて ぽけっ…と見惚れていたら、つい声を掛けてしまった。 その声に振り向いた彼と視線が交わる。 「……こんにちは。」 おぉ…意外だ。ちゃんと返してくれるだなんて。 やはり多少は驚いている様だが。 不思議そうにしながらも挨拶を返してくれた彼は、その容姿も綺麗だった。 女子が煩くなりそうな顔だ。 「…今7時過ぎだけどね。」 ……そうですね。正確にはおはようございますデスネ。緊張してすみませんです、はい。 まさか突っ込まれるとは予想していなかったので、咄嗟に返しが思い付かない。 自分から話し掛けといて何やってんだ、俺。 「……………。」 「……、……、、…。」 じっ…と見つめる彼に緊張して何だかとても落ち着かない。 あぁ、見られてる。絶対 俺 変な奴だと思われてる。すみません、一人で わたわた してて。 別に遊んでる訳ではないんですよ… 「…クスッ…。君、どこの学校?大学生…だよね?」 「へ?あ、あぁ、うん。…君も?」 「そうだよ。F大。」 俺ね、2年生。そう言いながら石垣を飛び降りた彼は、近くで見るとより綺麗で。 …なんか笑われた気がするけど。まぁいいか。 「あ…、俺はT大。俺も2年だよ。」 「そうなん?じゃあ同い年かな。」 ニコリ。 まさにそんな効果音が付きそうな…。 美形の笑顔とはこんなにも破壊力があるのか…。 「…あれ、フリーズ?大丈夫?」 そう言って一歩。顔を覗き込まれた。 「う、うん。うん、ダイジョブダイジョブ。」 大丈夫だから、それ以上近づかないで下さい。美形には慣れてないんです。 「そう?…あ、鯉だ。」 木柵に凭れる彼の声に視線を落とす。 …ゆったり動く陰に合わせて波紋が円形に広がっていった。 「…さっき、何してたんだ?」 「?…あぁ。木を観てたんだ。」 「木?F大って…あ、美大だっけ。」 「うん。今度は植物描こうかなぁって思って。」 「あぁそれで…」

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