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Ⅰ 零⑥

ここは…… 《アヴァロン》ではないのか? 「《アヴァロン》ですよ」 蒼い双眼が食い入るように俺を見つめている。 なぜ、こんなにも間近に瞳がある? 「それは、もちろんこうするために……」 カチリ 額に突きつけられたのは銃口だ。 「何人撃った?」 鉄色の口が淡い熱を保っている。 (発砲したのは5分……否3分以内か) 弾は? あと何発残っている? 「ゼロです」 なぜっ この男は自ら手の内をさらす。 銃が空砲なら、俺に逃げろと言っているようなものだ。 「名前を言っただけですよ。俺は(ゼロ)」 ……あなたに逃げてほしかったのに。 「あなたを離せなくなる」 唇は零に奪われた。

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