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Ⅱ 天高く⑦

なにが起こった。 跡形もない。兄上の高速機部隊が全滅、逃げる猶予もなかったのかッ 光が飲み込み、一瞬で機影が全機消滅した。 増援がいる筈ない。 俺達はたった二人で世界に戦いを挑んだんだ。 光は太平洋沖から飛来した。 落ちる直前に二つに割れて…… (もう一つの光は!) どこへ行った? 台湾総督府艦隊はっ 兄上はっ ツッ……ツッ……ツゥゥー 無線が繋がらない。 「兄上!兄上ッ!」 いくら呼んでも、返ってくるのは灰色のノイズだ。 「零、《アヴァロン》浮上だ。台湾総督府艦隊がっ」 「メタルコアでエナジーが尽きています。《アヴァロン》はもう……」 「じゃあッ!」 兄上の艦隊はッ 無線が繋がらないんだ。 「光が曲がったんだ!俺達に落ちる直前、二つに割れて一つがッ!」 「落ち着いて」 「エナジーがあればいいのか。地下施設はっ、予備のエナジーの備蓄はっ」 「今、動くのは危険です。再びあの光の標的になり兼ねない」 光が割れたのは、世界連邦政府軍への攻撃のため。 標的は、台湾総督府艦隊と所属部隊。 「ならッ」 兄上はッ 灰色のノイズが辛うじて、青のランプを灯した。 『ネ、オさま……音緒さまですか?』 聞こえる。この声は…… 「シンか?」 『はい、音緒様。ご無事ですかっ』 「俺の事はいい。兄上はッ」 『私は総督府艦隊 第13護衛隊にて後方で琉青(リュウセイ)様をお護りし……』 声が途切れた。 『琉青様は立派な御最期を遂げられました』 ノイズだらけの無線が語る。 台湾総督府艦隊 全滅 『琉青様の最期のご命令は、『音緒を守れ』……』 高速機部隊は《アヴァロン》への衝撃を少しでも緩和させるため、空中にて停止。 『音緒様の身を』 バァンッ 青いランプに拳を落とす。 そんな報告が聞きたいんじゃない。 俺はっ あなたがっ 兄上が生きていてくれさえすれば…… 空っぽの俺なんかよりも。 どうして、俺は生き残ったのだろう………

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