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Ⅱ 天高く④

フッ、フフフ 笑いが込み上げるよ。 フフフフフフ…… 本気か? 「あなたを犯すΩが言うんです」 「そうだったな」 αを犯すΩなんて聞いた事ない。 「お前くらいなものだよ」 「あなただけのΩですから」 この世界を壊せるのか。 世界は平和で、欺瞞(ぎまん)に満ちている。 仮初めの平和を人々は享受している。 お前は、この世界を たった一人で敵に回すのか 「運命なのですよ」 ……空が笑った。 「あなたを愛する運命だから」 触れるだけで身を焦がす、熱いキス 「運命に殉じます」 俺だけに空が微笑んだ。 初めてだよ…… 俺は、この世界に生まれて良かった。 「地下施設から出るぞ。《アヴァロン》が落ちた穴は瓦礫で塞がれてしまったな。アサルトビーム用意。出力最大」 「はっ」 《アヴァロン》のエナジーが戻っている。 やはり墜落のエナジー吸収は、施設での零の策だったか。 「発射と同時に浮上」 「メタルコアMAX」 「いい判断じゃないか」 既に本国の探索が始まっているだろう。 熱伝導を表層に集中させる事で一時的だが、敵の爆撃にも耐え得る機体硬度になる。 (敵か) 本国が敵になるとはな。 それでも俺は…… 見たいんだ。 俺だけの空を お前の瞳を、本当の大空の下で 「アサルトビーム、チャージ完了」 ビームエナジーが青く光った。 照準バックアップ 視界オールクリア 羽ばたけ、《アヴァロン》!! 「テェェェェーッ!!」 闇が割れた。 光へ もっと、先の 上空の 俺達を照らす光へ 光を 手に入れる。 お前となら 俺は、言える。 光が欲しい。 空っぽの、虚ろな心だった俺に、欲しいものができたんだ。 お前と見る光の景色を、俺は望む。 (一緒に見よう) 「α音緒、《アヴァロン》出るぞ!」 ゾディアックじゃない俺が生まれた。 出力最大になった浮上レバーを引く。 体にかかる負荷で吹き飛びそうな意識を、背中のお前が受け止めてくれる。 こんな時でも、お前の温もりは優しいんだな。 小さなコックピットで、俺はお前の心臓の音を聞いている。 その時間はわずか数秒だろう。 だけど、その数秒さえも俺はお前に恋してるんだ。 この世界で。 俺が今から見る景色は、憎むべき世界なのだろうか。 世界を愛する事ができるだろうか。 分からない。 でも……… お前がいれば平気だ。 お前と共に生きよう。

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