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Ⅲ 初恋は……②
歯車は再び動き出す。
俺の意志に関わらず。
俺の生死に関わらず。
世界は動くんだ。
『それでも君は生きている。生き残ってしまった以上、君は大切な命だよ』
資源という名のね……
『安心するがいい。我々も『贄堕ち』の生体実験に成功したところだ』
つまり、そういう事か。
通信の逆探知はできた。
いや、させたのだろう。
俺が逆探知する事くらい読んでいる。
声は太平洋沖
光を撃ち込んだ海からだ。
「《リュムナデスの火》か」
『あぁ、看破したようだね。察しのいい子は好きだよ。愛人にするには調度いい』
声は、掃討命令の下されたテロリスト集団《リュムナデスの火》
俺に直接接触を図るとは、幹部クラスか。
『違うな、幹部ではない』
ノイズの奥で、クスリと声が笑う。
『《リュムナデスの火》総帥・影瑠 だ』
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