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Ⅲ 初恋は……③
選択肢はない。
命は脆くて儚いんだ。
どうして、俺を。
庇って消えたのは運命か。命令だからか。
高速機部隊の命が昇った空は、眩しい太陽の火で燃えている。
蒼く、蒼く……
太陽の影を焼きつけて、燃えている。
その手を振りほどいた。
「俺は資源だ。資源を有効に使うのが《リュムナデスの火》総帥の戦術だ」
αが妻になれば、少なからず動揺が走る。それが狙いか。
俺は、まだゾディアック5thだ。
もっとも妻になった時点で、俺の存在は国から抹消されるだろう。
(だとしても)
利用価値はあるだろう。
少なくとも、子は埋める。『贄堕ち』させれぱ……
「命までは取りはしないさ」
この命で、お前を守れる。
《リュムナデスの火》は、お前の存在を知らない。
目的は俺だけ。
俺が素直に捕まれば、お前には手を出さないだろう。
「《アヴァロン》はもう飛べないな」
さようなら、愛しい人
俺の初めての恋人……になれたのかな?
キスしかしてないけど。
初恋の人だから
生きてくれ
「もう、さよならの時間だ」
飛空挺が迎えにきた。
青い空に翳が燃えている。
「音緒」
最後に俺の名を呼んでくれて、ありがとう。
最初のキスは強引で、
二回目のキスは甘く蕩けそうで……
最後のキスは、どうしてこんなに痛いんだろう。
心臓が、胸を破りそう。
口づけは涙の味しかしないよ……
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