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「───俺はミケのことを恋愛感情で好きだよ。ミケは違うの?」 つばきの声が少し掠れている。 恋愛…感情。つばきがぼくのことを……? それじゃあぼくがずっとずっと悩んでいた……つばきには彼女がいるっていうこと、そしてぼくとつばきの気持ちは全然違うということ。 この二つで悩んでいたけど、それは全部杞憂だったということ……。 ずっと、ずっと胸に痞えていた大きな痼がすーっと消えていく─── 「───ぼくもつばきと一緒。つばきのことが大好き」 つばきとぼくは両想い──なんだよね。 ぼくは思わずつばきの胸に飛び込む。 つばきはそんなぼくを優しく受け止め、頭をポンポンと撫でる。 つばきの匂い、かすかに香る石鹸の香りを思いっきり鼻に吸い込む。 つばきの体温を身体中で感じる。 つばきの体温をずっと感じていたかったが、つばきと想いが通じ合った、そんな安心からか一気に寒さを感じ、体が震えた。 そんなぼくにつばきは「帰ろう。送るよ」とぼくを抱きしめていた腕を離す。 つばきが帰ろうと歩き出そうとしたぼくを呼び止める。 「───改めてミケ、俺と付き合おう」 まっすぐぼくを見つめるつばきは真剣な表情で、そんな表情もやっぱり好きで───。 ぼくは思いっきり首を縦に頷く。 「つばきよろしくね」 つばきはぼくの好きな目尻の下がった笑顔を浮かべ、「こちらこそよろしくな。ミケ」とぼくの髪を優しく梳くように撫でる。 つばきの温かい指が、悴んだ耳朶に当たる。 つばきがこんな風にぼくの髪を優しく梳きながら、ドライヤーで乾かしてくれていたのが好きだった。 「行こうか」 つばきは撫でていた髪から手を離し、その手でぼくの手を握る。 ぼくはつばきと想いが通じ合った。 それがすごく嬉しくて、つばきの手を強く握り返した。

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