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第1話

蒼く広がる海と、白壁の美しい家々が連なる風光明媚な街リノン。 カサレア国にある特別自治区。 そこは20年前、Ω解放運動が起こった街だった。 Ω解放運動とは、Ωの地位の向上を求め、Ωとそれを支援するαが起こした運動だった。 そして、リノンは人間と獣人が共存して暮らす数少ない街としても有名だった。 最後は軍と衝突し、多くの犠牲者を出したものの、Ωの地位が格段に上がったことで革命的な成功をあげたといえた。 世界には人間と獣人がおり、男女の性別以外に第ニの性が存在する。 生まれつき身体能力や知能が高いα。 人口の約20%しかいない。 生まれながらのエリートで、国王や貴族、国の要人に多い。 次にβ。 人口の約70%を占め、だいたいの人間と獣人はこれにあたる。中級層。 最後にΩ。 αよりも少ない稀少種で、人口の約10%に当たる。 男女どちらでも繁殖でき、発情期(ヒート)がある。 発情期(ヒート)にはフェロモンを撒き散らし、αを引きつける習性がある。 この発情期があるため、社会的な地位の向上が難しく、差別的で蔑まれる傾向にあった。 Ωの楽園として移住する者があとをたたないリノンの街だが、Ωを末端とするカーストは完全には取り除かれてはいなかった。

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