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第17話
ベランダに脚を伸ばして、昼飯の焼きそばを啜る。
気持ちの良い風が2人の間を通り、三条は気持ち良さそうに笑っていた。
「たまにはこういう食い方も良いな。」
「はい。
天気が良くて気持ち良いですね。」
「本当にな。
日焼け大丈夫か。
痛かったら言えよ。」
「大丈夫ですよ。
ありがとうございます。」
5日ぶりの恋人の隣はやっぱり安心する。
部屋いっぱいの恋人のにおいも、冷たい大きな手も、また増えた本も愛おしい。
此処は、絶対的な安心感がある。
「ん?
どうした。」
「なんでもありません。」
おまけに付けて貰った目玉焼きみたいにとろとろになる。
「正宗さんの焼いてくれた目玉焼き美味しいです。」
「そりゃ、愛情込めて焼いてますから。」
伸ばした足に長岡は自分のそれをトンとぶつけて、ふざけながら言った。
「割るの勿体ないですね。」
「何時でもまた焼いてやるよ。」
「愛情こもってるのに?」
「何時も込めてます。」
長岡の柔軟な表情は恋人の特権。
この笑顔が見られればなんでも良くなる。
「じゃあ、割ります。」
「美味いか?」
「はいっ!
すごい美味しいですっ。」
焼きそばを覆う黄色みたいに今日も笑う。
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