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第37話
久し振りのまともな朝飯を目の前にした長岡は手を合わせる。
三条と付き合ってからすっかり癖になった行動。
三条は難しい年頃でもきちんもマナーを守る。
そして、素直にありがとうと感謝しごめんなさいと謝罪出来る。
当たり前の事を当たり前に出来るのはやっぱり格好良い。
「いただきます。」
「いただきます。」
朝から味噌汁にありつけるなんて贅沢だ。
春野菜の甘味の効いた味噌汁を啜りながら朝の情報番組を流す。
今日は何の日だ、どんなイベントがある、楽しそうな動画と共に紹介されるが2人は今日も引きこもる予定。
だが、それが良い。
「うめぇ。」
「お口に合って良かったです。」
「ありがとな。
昼飯は俺が作る。」
昼飯、と言ったところで思い出した。
「今日は病院行かなくて良いのか?
行くなら送るぞ。」
「あ、そういう意味で起こした訳ではありませんよ。
直接会いに行かなくてもスマホでやり取り出来ますし。
それに、写真送られて来るんで弟の顔も見れてます。」
にこやかな顔でスマホを指差した三条。
昨日、帰宅時に家族全員で写真を撮ったと言っていた。
今は手軽に写真も動画も撮れる。
それをアルバムにする事も手軽だ。
そうか、三条達はそうやって育って、育っていくのか。
9歳の年の差が大きく感じる。
「なぁ、俺とも撮ってくれるか?」
「はいっ。
沢山、撮りたいです。」
沢山撮ってきたがもっと沢山撮りたい。
そんな我が儘を言っても笑顔で受け入れてくれる。
「沢山な。」
「沢山です。」
「遥登ってすげぇ甘やかしてくれるよな。」
「そうですか?
それを言うなら正宗さんも俺の事を甘やかしてばかりですよ。」
にこにこ笑いながらたまご焼きを口に運んだ三条にあ、と口を開いて見せれば甘いそれが運ばれてきた。
ほら、やっぱり甘やかす。
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