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第38話

窓辺に寝転んで携帯を弄っていた長岡は隣から聴こえてくる気持ち良さそうな寝息に気が付き、そちらを見た。 本を読んでる途中で眠気に誘われたのか昼寝の真っ最中の恋人の肩が規則正しく上下していた。 天然の光を浴び白い肌はより白く、髪はキラキラ輝き本人を彩っている。 自然と上がる口角をそのまま、学校では決して見る事が出来ない顔を見せる。 さらっと溢れた髪を耳にかけて顔を出会ったばかりの頃より随分と大人びた顔を堪能する。 白くて細くて、笑顔がよく似合うところは変わっていない。 身長は随分と伸びた。 キシキシすると言っていたがぐんっと伸びたから痛かっただろう。 割りと平坦に伸びた自分でさえ痛いと言うか疼く様な気持ち悪さがあった。 そして、格好良くなった。 容姿だけでなく、目標に向かい真っ直ぐに進む頼もしい姿に背筋が伸びる。 この子が同じ教職に就いた時、恥ずかしくない様にいたい。 裏切らない様に。 無防備に眠る三条の姿によく懐いてくれたと嬉しくなる。 自分の顔を見ただけで威嚇した顔をしていたのは遠い昔の様だ。 傍らのマグを端に寄せ、スマホを置くと長岡もゆっくり目を閉じた。

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