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第43話

身支度を整える為に寝室から出るとローテーブルの上の朝飯に目を輝かせた。 「オムレツ! 美味そう!」 よほど嬉しいのか何時もの口調が崩れた。 「チーズ入ってんの好きだろ。 ウインナーも焼いた。」 「こんな手間かけてもらって良いんですか?」 「手間って…。 良いに決まってんだろ。」 「ありがとうございます。」 オムレツにウインナー、ちぎったレタスとインスタントのスープそれからトーストが3枚。 寝起きだがそれ位軽く食べれてしまう。 誕生日様々だ。 両親に感謝しつつ、恋人の手を掴み頭を下げた。 その頭をわしゃわしゃと撫でくり回す長岡の表情はなんとも言えない。 三条も19歳とは思えない無防備な笑顔をみせている。 「顔洗ってこい。 コーヒー淹れて待ってるから。」 「はいっ。 冷めない内に、すぐ戻ってきます。」 美味しそうな湯気をたてている朝食が冷めない内にいただきたい。 洗面台に映る自分はにこにこと上機嫌だ。 だらしがない顔だ。 表情筋が役目を果たしていない。 だけど、長岡と一緒にいるとそうなってしまう。 嬉しいもんな 早く戻ろう その言葉通りすぐに戻ってきた三条に、長岡は本当に早ぇなとコーヒーの入ったマグを手渡した。 「ありがとうございます。」 牛乳と砂糖の入ったそれを机に並べ、手を合わせる。 「いただきます。」 「いただきます。」 まだあたたかいオムレツを1口分箸で持ち上げるとチーズが伸びて思わず頬が緩む。 甘さをチーズの塩分が引き締め更にケチャップの少しの酸味と合わさり、とろけてしまう。 「美味そうな顔して食ってんな。」 「美味しいです。 正宗さんってたまご料理の火加減抜群ですよね。」 「そうか?」 めだま焼きもかきたまもオムレツもやわらかさが抜群だ。 特にめだま焼きは半熟とろとろで箸でつつくととろーっと黄色が拡がる。 そのなんとも上手い事。 「すごい好きです。」 「んなもん何時でも焼いてやる。 沢山食え。」 「はい。」 もぐもぐとレタスを食べていると目の前にウインナーが運ばれてきた。 何時もの餌付けだ。 齧り付くとフェラしてるみたいとからかわれ、19歳の朝がはじまりました。

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