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第64話
パタパタとはためくシーツが眩しい午後。
正午に近くなってから起きた2人で1食目の食事を摂っていた。
「正宗さん、美味しいです。」
「そりゃ良かった。
俺も遥登と食えて美味いよ。」
自分の作った飯に美味いも不味いもないが、遥登と食べると美味くなる。
いや、自分で作った食事だけじゃない。
インスタント麺も、焼いただけの安いパンだって、味を変える。
遥登と付き合うまで知らなかった味。
残りのカレーで作ったカレーうどんを啜りながら、穏やかな時間をゆっくりと過ごす。
あんなに長いと思っていた連休も、もう最終日。
明日から学校だ。
「次は盆に9連休だろ。
何したいか考えときな。」
「正宗さんと一緒に過ごしたいです。」
何時もと変わらない答えに笑みが溢れる。
「お手軽だな。」
「贅沢なんです。」
これも同じだ。
だけど、何度聴いても嬉しい。
「俺も贅沢だから遥登と一緒に過ごしてぇな。」
「はいっ。」
何時もと変わらない日常がこんなにも素晴らしいものだと教えてくれた恋人は、何時もと変わらない無垢な笑顔を向けてくれた。
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