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第84話

昼からはじまった長時間の音楽番組をBGMに積ん読を減らしていく。 楽しそうな司会者の声にテレビを観ると、自分が生まれる前の曲の前奏がはじまった。 「良い曲は長く愛されますね」 「ん、そうだな」 三条が生まれた年の流行曲も、長岡が生まれた年の流行曲も、もっと長くから愛されている曲も誰かの記憶の中でずっと大切にされてきた曲。 それを理解している三条を尊敬する。 豊かな心で誰かに寄り添い、自分は傷付いたりしないのか。 時々不安にもなる。 ぽん、と頭に触れると笑顔を向けた。 「おじさんも、長く愛されてぇな」 「正宗さんはおじさんじゃないですよ。 格好良いお兄さんです。」 「お愛想ばっか上手くなって。 大学でタラシてんじゃねぇだろうな。 心配だぞ」 「タラシって…。 それは正宗さんですよ。 新しい学校でもモテてるでしょ」 「モテねぇよ。 それに俺にはすっげぇ自慢の恋人がいるしな」 人当たりの良い笑顔と、真面目な性格。 外見だけじゃなく、内面も自身を持って自慢の恋人だ。 「あの、正宗さん。 長く愛されたいって、誰に愛されたいんですか…?」 そんなの、決まってるだろ。 「遥登」

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