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第87話

山の方へハンドルを切ると、次第に街灯の間隔が開いていく。 善くも悪くも田舎は街灯が少ない。 だが、今日みたいな日には適している。 「あ、あの子達も探してます。 見えると良いですね」 「そうだな。 折角見えそうな天気なんだから見えると良いな」 家の前で星座表を見ながら天を仰ぐ子供の姿がぽつり、ぽつりとある。 街灯の下で座標を見ては少し位置をずれて空を見る。 自分も子供の頃はそうしていた。 毎年貰っていたそれは、まだ勉強机の奥に眠っているだろうか。 スマホで代用出来るといっても子供の手に持たれたそれは懐かしい。 「俺がさっきの子供位の時に遥登生まれたのか」 「え? あー、そうですね」 「つい未成年って忘れちまうけど、未成年なんだよな。 えろ」 「えろくはないです…」 でも、普段一緒に居て不思議とジェネレーションギャップを感じたり話が合わないという事は殆んどなかった。 長岡が高校で職員をしているといっても9歳差は大きい。 それを自然と埋めるのは三条の感受性や語彙、知識や学習能力の高さ。 本当にすごい子だよな 色んなもんを吸収して、きちんと自分のもんしてる 「ん、到着。 暗いから足元気を付けろよ」 「はい。 ありがとうございます」 それと、長岡がベタ惚れな事。

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