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第86話

窓から空を眺める三条の後ろ姿は、在学中と変わらない。 細い首に丸い頭がのっかって折れそうだなと思うのも、細い腕や足首が真っ白なのも。 なのに、ぐっと大人っぽくなった。 色気も、容姿も、雰囲気も。 学校で見ていた大人っぽい三条とはまた違う。 確かな成長だ。 嬉しくて、やっぱり少し寂しい。 「遥登。 ほら、アイス。 星見えるか」 「ありがとうございます。 うーん…、微妙ですね。 あそこに1つ見えますけど、天の川は見えません」 だけど、自分には屈託のない顔を見せてくれる。 幼い印象があるのはそのせいだ。 半分に割ったアイスの片方を手渡すとそんな顔で喜んだ。 「食ったら見に行こうぜ。 俺も見てぇ」 「はいっ」 どうだ、羨ましいだろ。 アルタイルに見せ付ける様に恋人の隣に並んでアイスを食べる。 「うめぇな」 「はいっ」

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