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第97話

あれ…? 服がない…… 畳んで置いておいた私服が見当たらない。 パンツすらない。 代わりにあるのはご褒美だと貰った紙袋だった。 持ってきた覚えはないが、裸で出て行く事も出来ず中を確認してみると出てきたのはブレザー、スラックス、ワイシャツ。 そして、最後に出てきたのは見慣れたネクタイ。 高校の制服…!? 思わず後退りすると身体が脱衣棚にぶつかった。 アメニティがガサッと落ちる音を聞き付けて長岡が声をかけてきた。 「どうした。 大丈夫か?」 「大丈夫、です…落としてしまって…、でも、服…これ……」 「本当に大丈夫なのか?」 「はい」 「なら、紙袋の中身着て出て来い。 楽しみに待ってるからな」 大きく目を開け、恋人が居るであろうドアの向こうを見詰めた。 それから視線を手元へ移す。 これを、着て…… 制服を見詰めて動けないでいると早くおいでと部屋から声がかかった。

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