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第128話

やっと試験も終わって夏休みだ。 これで、少しは吉田とも会える。 足取り軽く知佳ちゃんと生協に歩く道すがら。 「浴衣…?」 「そう。 来週の花火大会、良いなぁって」 花火大会のポスターを前に知佳ちゃんは良いなぁと足を止めた。 背景にするのは勿体ない程の大輪の花の上に夏祭り、そして花火大会の文字。 夏の楽しみの1つだ。 花火大会か 去年一緒に見た花火、すげぇ綺麗だったよな 並んでそれを見ながら、浴衣姿の長岡と花火観賞出来たら良いなと思う。 長岡は浴衣姿もすごく格好良かった。 あの時は旅館の物だったが、それでもとても良く似合っていてすごく男らしくてドキドキした。 チラチラと覗く素肌が官能的で、普段見られない箇所が見えるのは正直そそる。 「男の子的にはどう? 浴衣着てくると歩くの遅いなぁとか気合い入ってるなとか思う?」 「俺は思わないよ。 自分の為に着てくれてたら嬉しいし、可愛いなって思う」 そのままでも十分素敵なのに、時間をかけて着飾ってくれる。 時間を使ってくれる事が嬉しい。 可愛い、綺麗だと思われたい、その気持ちが愛おしい。 彼女が、彼氏が、付き合う前だとしても。 素直にそう思う。 「三条くんっぽい。 ま、未知子と行くんだけどね」 「本当に仲良いね」 「三条くん達だって仲良いよ。 私だって吉田くんと離れて寂しいなって思うもん。 やっぱり3人揃ってた方が良いなぁって。」 夢の為に頑張る友人は勿論誇らしい。 だけど、少しだけ寂しい時もある。 それだけの時間を3人で過ごしてきた。 今更それを痛感する。

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